この作品は『エニグマ変奏曲』(原題:「VARIATIONS ENIGMATIQUES」)として1996年フランス・パリにて初演されました。フランス演劇界注目の作家エリック=エマニュエル・シュミット作、アラン・ドロン主演での上演は大好評を博し、以来世界各国で上演されています。シュミットは、イギリスの国民的作曲家サー・エドワード・エルガー作曲「エニグマ変奏曲」の未だ解明されていない二つの主題の“謎”を巧みにモチーフとして使い、二人の男たちによる見事な会話劇を完成させました。

二人の軽妙なやりとりと緊張感のある会話は時におかしく、時に切なく、スリリングな展開によって二人の立場は変化し、一人の女性を中心とした男たちの心理ゲームが展開されます。そして物語は衝撃的なクライマックスを迎えます!この度の舞台化にあたり、気鋭演出家・森新太郎と日本を代表する名優・橋爪功、若き実力派俳優・井上芳雄という夢のトライアングルが実現いたしました。どうぞご期待下さい!

ノルウェー沖の孤島で、一人暮らしをしているノーベル賞作家アベル・ズノルコの許へ、地方新聞の記者と名乗るエリック・ラルセンという男がやってくる。ズノルコの最新作、恋愛小説「未完の愛」についての取材のためだ。ラルセンは、屈折したズノルコに手を焼きながらもインタビューにとりかかる。

ある男と女の往復書簡に実在のモデルは存在するのか? なぜ突然ぷっつりと、この手紙のやりとりは終わってしまったのか? 記者嫌いのズノルコが特別にラルセンの取材に応じた理由とは? ズノルコにとっての愛とは?

すべてが謎であった。

まさに白夜が終わり、夜の季節に移り変わろうとするその日の午後、こうしたラルセンの意味ありげな質問は続き、やがて二人をめぐる衝撃的な真実が次第に明かされていくのであった。

橋爪 功
今回は、これまでやってきた芝居とは少し毛色の違うものに挑戦することになります。まず大きいのが、二人芝居の相手となる井上芳雄くん。初共演ですから、どういうやりとりができるのか想像もつかないですね。そしてたぶん、ミュージカルを中心にやってきた彼のファンの方にとって、僕なんかは、“橋爪功って誰?”っていうような感じでしょうから(笑)。というのは冗談にしても、いつもの僕の舞台のお客さんとはまた違う客席になると思うので、どう観ていただけるのかなということも楽しみにしているところです。
 さらに、実はこういったウェルメイドな作品も二人芝居も、自らではあまりやってこなかったものなんです。でも、(演劇集団「円」の)森新太郎が演出をするなら間違いないだろうと。意欲的で安全牌を使わないし、かなり激しいことをやるので、あいつの演出は大好きなんです。ただ、稽古が長い。井上くんが疲れそうになったら僕が先に休んでやろうかなと思ってますが(笑)。井上くんと森とスタッフでどんなものが生み出せるのか。今はまったく未知ですけど、だからこそ、楽しみの大きな作品になりそうです。

井上芳雄
『謎の変奏曲』という作品は、今回のお話をいただいて初めて知ったんです。世代の違う二人の男が対峙して語り合ううちに、互いにいろんな変化が起こっていく。面白いと思いましたね。こんないい本は絶対やるべきだと思いました。二人でずっとしゃべっている芝居なので、もちろん演じるのは大変だろうなと思いましたし、その相手が橋爪功さんだということにもビビってますけども(笑)。でも、その俳優さんのすごさが最もわかるのは、一緒に芝居をすることだと思うので、橋爪さんからたくさんのものを受け取って勉強し、自分も何か返していけるようにしたいなと思います。演出の森新太郎さんも初めてです。稽古が長いとお聞きしてますが(笑)、それには理由があるんでしょうから、森さんが求めているものを知っていくのが楽しみですね。
 ミュージカルだけでなく、芝居に挑戦する機会が増えてきました。舞台の上で、今本当に心が動いて本当にそう思ったように台詞が出る、そんな瞬間を重ねていけたらと思っています。正統派の面白いドラマで、共演者も演出家もいい。これ以上ない幸せな場を用意してもらいました。あとは僕次第です(笑)。

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